
日本と朝鮮は、地理的に近いこともあって、いろいろなものが日本に伝わってきました。
高麗人参も例外ではありませんでした。 高麗人参が、日本に伝わったのが、江戸時代です。 日本の一番古い文献によりますと、8世紀ごろ聖武天皇のころです。 渤海の文王が聖武天皇に高麗人参を贈ったのが始まりです。
それから後も、何度も朝鮮半島から日本に高麗人参が贈られてきました。 長い歴史に中で、高麗人参は、お互いの国のお礼物や交易品として、朝鮮半島から日本にはいってきました。 そのお礼として、日本は朝鮮半島に銀などを贈っていました。
日本ではじめて高麗人参が、栽培されたのが18世紀のはじめころです。 徳川幕府、八代目将軍吉宗の時代です。 徳川家康は、高麗人参を持ち歩き、服用していました。 戦国時代の武士たちは、健康維持に高い関心がありました。
家康のころに、高麗人参の栽培が始まりました。 高麗人参が世界中に広まるきっかけになったのが、大航海時代。 たくさんの宣教師や商人たちが、ヨーロッパから東アジアの国々にやってきたころです。 オランダ人のハメルが朝鮮半島ですごした出来事を本にしました。 この本の中で、ハメルは、高麗人参をヨーロッパの人に紹介しました。 高麗人参の実物の大きさの写生図が観察調査記録に残っています。
18世紀の初頭、モントリオール在住のフランス人宣教師のラフィトウは、高麗人参の写生図をカナダのある民族に見せて、山の中から高麗人参に似た植物を採取させてきたほどでした。
このとき以来、北アメリカ産の人参が、洋参という名前で、中国に輸出されましたが、高麗人参の薬効ほど、優れた効果はなかったようです。
日本でも、薬効が高い高麗人参はとても珍重されていました。 その優れた成分が科学的に研究されたのが、20世紀の半ばころです。 特に高麗人参の有効成分であるサポニンについては、今も研究が続けられていて、サポニンのほかに、新しい有効成分も発見されています。